最近、ドラマや漫画、アニメも結構見るようになったんだけど、今週はドラマ「重版出来」の最終回が放送された。
原作は漫画版
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漫画版の感想でも書いたが、やはりドラマ版も最初から最後まで面白かった。
そこで、ぼくの感想を載せておこう。 ~
ネタバレもあるから、嫌な人は見ないでね。
= 仕事の情熱
重版出来に出てくる人は、大半が仕事に対して情熱を持っている人。
主人公の黒沢心はもちろん情熱たっぷりだ。それは言うまでもない。
嫌な社員として目立つのが、新人つぶしをして、定時で帰宅、休みの日は漫画家からも電話に出ないと、一見するとやる気のない安井昇だが、彼も仕事に対する情熱を持っている。
ドラマの第6話で出てくる安井の過去のエピソードを見ると、ただの嫌な奴から、苦渋の味を知っている深みのある人という見え方に変わるのも面白い。
色々な仕事に向き合う姿勢が描かれているが、
仕事に対して毎日本気で向き合っている姿に、よし!仕事を頑張ろうという気にさせてくれる。
やっぱりビジネスである以上売上も大事だ。
= 人の成長
重版出来は、全体を通して人の成長が描かれているのも面白い要素の一つだろう。
主人公の心が新卒で入社し、成長していく様子ももちろんなのだが、書店員から影が薄いためユーレイさんと呼ばれていた営業部の小泉純の成長も面白かった。
いわゆるゆとり世代のダメな社員という姿だったものが、心と一緒に営業を回るうちに、仕事をすることに目覚める。
そして、本を売る営業の本当の楽しさを知り、そこからは人が変わる。
最初はビクビクしていて、週間バイブス編集長の和田に声をかけるのもオドオドしていたのが、最後には胸を張って話しかけていく姿は成長が見える。
あの姿を見ていると、同じ世代としては負けていられないと頑張りたくなる。
また、編集部だけではなく、漫画家自身の成長も描かれている。
人気漫画「ツノひめさま」を書いている高畑一寸が、彼女に振り回されているところから、もう振り回されないと決め、お互いに別の道を歩む姿は割と好きなシーンだ。
漫画の技術の成長はなく、人としての成長が見られるのは、普段漫画家の人間性を知ることができない身からすると見ていて面白い。
漫画界の大御所として、長期連載を続けている三蔵山龍が、アシスタントに半ば裏切りのようなことをされた挙句、2chの投稿で絵が変わってしまったからもうオワコンだと言われて一度は漫画家を辞めようと思う。
しかし、心のアイデアで、以前と変わらない絵を描けるようになり復活する。
そこから、最終話の宣言まで辿り着くのも、幾つになってもずっと成長し続けられることを改めて実感させてくれるので面白い。
= 業界の裏側が見える
重版出来が面白い理由は他にもまだある。~
それは、漫画の出版業界の裏側が描かれていることだ。
当たり前のことかもしれないが、どうやら重版出来は業界の様子をリアルに描いているようなのだ。
業界の裏側を描いてヒットしたドラマとして、半沢直樹が記憶に新しい。
== 半沢直樹の欠点
しかし、半沢直樹には欠点があった。
それは、設定がありえないこと。
金融庁とあれだけモメ、常務に対立して追い詰める。爽快感があったのは確かだが、ちょっと非現実的だ。
だからこそ、半沢直樹はヒットしたのだろうけど。
その点、重版出来の設定は素人目にもあまり無理はなかったのではないかと思う。
作者の松田奈緒子さんの夫は漫画解説者、実妹はコミックエッセイ劇場編集長という環境があったからこそ、リアルに描けたのだと思う。
= 視聴率が低い理由
このドラマの視聴率だが、実は内容が面白いのだが、初回が9.2%、最終回が8.9%と、1度も10%を超えず、平均視聴率も7.2%だった。
その理由はぼくはいくつか考えられることがあった。
キャストがイマイチだったのではないか?という声もあるが、黒木華、松重豊、荒川良々、オダギリジョー、生瀬勝久、小日向文世、坂口健太郎とかなり演技力も、タレント性もある人が揃っている。
それにも関わらず視聴率は高くなかった。その理由もあげてみよう。
= 人の不幸は蜜の味
半沢直樹との大きな違いがある。
半沢直樹は、基本的に誰かしらが不幸なドラマだ。人が陥れられたり、仕返ししたりと、ドロドロだ。
それに比べて、重版出来はみんなが幸せになれるようにというストーリーを描いている。
同時間帯に放送されていた「ぼくのヤバい妻」は、重版出来よりも視聴率が高かったが、最終回で人が刺されたりと、これもドロドロしている。
やはり、世の中の多くの人は人の不幸が好きなのだ。
= 多くのサラリーマンは仕事が嫌い
また、自分の仕事が好きで情熱を持っているという人は、ぼくの周りにはたくさんいるが、まだまだ世の中の少数派だろう。
好きではないことをしていると、ストレスを感じる機会も多い。~
そうなれば、人の不幸を見て、自分の方がまだ幸せだと感じたいのもわからなくはない。
漫画家から大絶賛
半沢直樹がヒットしていた頃に、知り合いの銀行員の方に話を聞いてみたが、あれはやっぱりドラマだから。と言っていた。
しかし、重版出来は同業者からも評価が高い。
重版出来!2話の再放送を見てまた泣いております。
冒頭の部決会議で心底震え上がり、たんぽぽ鉄道の売り込みに泣く。
そういえば映画バクマン見ても編集会議でガクガク歯の根が合いませんでしたw
そういうシーンで青ざめてる人がいたら漫画家かもしれません。— 竜山さゆり (@SayuriTatsuyama) 2016年4月23日
重版出来を観てると、わかってはいたけど 改めて出版社の人達や書店の人達への感謝の気持ちが湧いてくる。
— 奥 浩哉 (@hiroya_oku) 2016年4月19日
1話もそうだったけど、2話も本当に心を揺さぶられてしまう。
もう少し頑張ろう。そっと湿布をはりかえる。#重版出来— 杉山美和子@君スピ⑤6/24頃発売予定! (@SugiyamaMiwako) 2016年4月19日
営業さん、書店さん、いつもいつもありがとうございます。・゜・(ノД`)・゜・。#重版出来
— ひうらさとるホタルSP④5/13 (@marikosatoru) 2016年4月19日
重版出来観てると、出版社の編集さん、営業さんや…色んな人に感謝な気持ちになりますね…
私はただ毎月漫画描いて送ってるだけだけど、知らない所でたくさんの人が動き回ってくれてるんだなぁと。— 八田鮎子 (@ayukohaiena) 2016年4月19日
こんな感じだ。
同業者からの評価はやはりハードルが上がる。~
それでも、面白いと感じられるということは、リアルに出来ているのだろう。~
そして、仕事に情熱を持っている人の心を撃ち抜くのだろう。
= 視聴率で比べるのは時代遅れ
さらに、この視聴率というものは、ヒットしたかどうかの指標とされているが、時代遅れで当てにならない感も否めない。
なぜなら、視聴率の計測方法は、地上波放送、BS放送、CS放送、CATVなどのテレビ放送。
録画再生視聴、携帯端末などでのワンセグ放送視聴、テレビゲームなどは視聴率に含まれない。
生放送をテレビかパソコンで見ている人しか計測の対象に含まれないのだ。
この計測方法は昔から変わっていない。
しかし、重版出来はTBS FREEという公式のサイトで再放送されている。
だから、生放送で見ている必要はないのだ。
漫画家や自営業など、仕事が好き、かつ、時間が不規則な人はこの放送されている時間帯に見ていない確率の方が高い。
だからこそ、見ている絶対数がある程度あっても視聴率には反映されていない。
余談だが視聴率の高い番組は、スポンサーが金を払うから、テレビ局も宣伝しやすい。
以前、大手広告代理店H社に勤めていた方に聞いたのだが、視聴率が1%下がると、スポンサー料が大きく変わるのだと。
あまり覚えていないが、インパクト的には数千万から億くらいの価格帯で動く印象があった。
まだまだ古い体制が残っている。
視聴者がまだ数多くいるとはいえ、
オワコンにならないように体制も変化が必要だろう。
= 最後に
ぜひあなたが、仕事を少しでも好きでやっていたり、もっと仕事を面白くできたらいいなと思っていたら、重版出来を見たり、漫画版を読むことをオススメする。
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【書評】マンガ版、重版出来!の感想。仕事ってこういうこと!と感じさせてくれる。
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